2016年6月24日
熊本地震は、南阿蘇ルナ天文台にとって、文字通り「世界が一変する」ような大災害となりました。直面する厳しい現状、みなさまからの支援のぬくもり、南阿蘇への思い、そして心を癒やすの星空の美しさ。この震災のもたらしした現状と、そこから立ち上がろうとしている南阿蘇ルナ天文台の様子を、この連載にまとめていきたいと思います。
天文台のドームを修理するスタッフ
「震災から立ち上がれ」〜熊本地震と南阿蘇ルナ天文台
第3回 大雨
震災から2か月が経った今、南阿蘇では地震に追い打ちをかけるような大雨になりました。
数日前の夜の天体観察会の時に、担当するスタッフが、曇天の中、惑星が見えないかどうか天体ドームのスリット(両開きの観測扉)を開けて参加者のみなさんに空の確認をしていただいていたところ、いきなりものすごい豪雨に襲われました。
地震によるダメージで、雨滴センサーや天体ドームの自動コントロールが効かなくなっており、あわてて手動スイッチでドームのスリットを閉めようとしましたが間に合わず、パンタグラフや電線に大量の雨水がかかって漏電し、一瞬のうちにブレーカーが落ちました。
改修工事がまだ間に合わなかったので、手動でのスリット開閉もできず、その後3時間にわたって望遠鏡もスタッフ3人もずぶぬれになりながら作業を行い、何とかスリットを閉める事ができました。
そして望遠鏡などを拭きあげた上で、水浸しになったドームを自然乾燥させました。
南阿蘇では、温泉旅館やペンション、博物館や美術館など、いくつもの施設が全壊したり、また取り付け道路などを完全に喪失して近づけなくなったりしています。
営業再開したくてもできない施設がたくさんあるのです。
震災2ヶ月後に撮影した、阿蘇大橋を崩落させた土砂崩れ跡
そのような中、比較的軽い被害で済んだ当館は、生き残った者の務めとして、営業を再開し南阿蘇への宿泊客の受け入れを続け、観光などの地元産業や文化の火を消さないようにがんばりたいと思っています。
現在、南阿蘇ルナ天文台は、被災された方やボランティアで地域に入られた方を初めとして、南阿蘇の方々に無料で開放しています。
夏休みまでの間、5回にわたってチャリティーコンサートを館内で行い、被災された方々への募金をさせていただきます。
また、場所を失った村内の母子活動の場として、週一日を施設とガーデンを開放して、子どもたちとお母さんたちのほっこりする場にしていただいています。
「メルヘン村へ直接届く義援金」へ室料の5%を寄付
毎週火曜日開催「お母さんのためのほっこり会」
時間が経つにつれて、めっきり熊本地震関連のマスコミ報道が減ったことは、過剰な風評被害を防ぐ意味では良い事と思っています。
しかし、熊本地震は終わってしまった訳ではなく、復興などはまだまだ先の話、2か月後の現在はようやく復旧が始まったばかりという段階です。