2016年7月7日
熊本地震は、南阿蘇ルナ天文台にとって、文字通り「世界が一変する」ような大災害となりました。直面する厳しい現状、みなさまからの支援のぬくもり、南阿蘇への思い、そして心を癒やすの星空の美しさ。この震災のもたらしした現状と、そこから立ち上がろうとしている南阿蘇ルナ天文台の様子を、この連載にまとめていきたいと思います。
▲冬の天の川と南阿蘇ルナ天文台の望遠鏡群
「震災から立ち上がれ」〜熊本地震と南阿蘇ルナ天文台
第8回 復興への5つのプロジェクト その3
《4. 南阿蘇の最も魅力的な観光施設としての天文台になる 》
さらに、南阿蘇への観光客を年間何千人も受け入れる宿泊施設「オーベルジュ・森のアトリエ」を併設する天文台として、《南阿蘇の最も魅力的な観光施設のひとつとしての天文台》へと一層パワーアップする事により、地域経済の復旧・復興へもさらなる貢献ができるものと信じます。
従来、観光は地域の名所見物などが主となってきました。しかし元をただせば、紀元前の古代ローマの舞台となったイタリアや、20世紀初頭をまたいで世界の芸術文化の中心となったフランスのように、また日本における王朝の都、奈良や京都のように、多くの観光客を集める名所となった場所や施設は、本来、歴史的・文化的な背景を持つ事が多いのです。そこを坂本竜馬が歩いていたと思えば街並みも違って見えます。
同じ星空でも、そこに宇宙のダイナミックな神秘が隠されていると知った時には、それは驚きと感動の世界に一変し、天文台はそのスペクタクルの舞台となる事でしょう。このように、天文台のような文化を生む施設が、魅力的な地域資源・観光施設としても認知され、経済的にも活用されて生活を潤すように努力する事は、地域にとっても今後大きな利益となると信じます。
▲自分たちらしい出発(森のアトリエの結婚式の一幕)
《5. 新しいビジョンに基づいた新しい南阿蘇を創る》
このように、私たちの天文台もその一例となれるように、今後は地域内のユニークで魅力的な拠点施設が自助努力でたくさん生まれ増えていったらいいなと思います。そして、国からの地震災害の復興資金に頼った他力本願の地域振興ではなく、背伸びをせずに自分のジャンルで“とんがった”多くの施設どうしが、互いに刺激し合い、つながり合い、協働しあう事。そのようにして、地域のイメージ向上と経済振興に寄与しつつ、《新しいビジョンに基づいた新しい南阿蘇を創っていく》事こそが、未来へむけた私たちの仕事ではないかと思っています。
▲セレブレーション! (2015年元旦)
▲月を見上げる…
〜第9回へ続く